旅立ちの予感

ある旅立ち。

育児に関してかなり不器用なので、卒乳をしたことがない。

授乳歴11年で、その間タンデム授乳期間がある。

自分自身が卒乳するのが下手だったということと、面倒くさがりということが原因だ。

授乳はなだめるためにとても簡単だから、すぐに使ってしまう。

断乳やタンデム授乳の記事や資料を読み漁ったのは、第一子出産後だった。

断乳は上手くできないということで諦めてしまっている。

そこから何年も経った今、本格的に卒乳の時期を迎えつつある。

騒音問題で指摘が入りやすい環境なので、子どもを長時間泣かすことができない。無理な断乳は考えていない。

すぐに授乳をおしまいにできるとは限らないが、ひとまず、お疲れ様、自分、と思う。

兄弟間の年齢差がほぼ均等なので、いつもなら妊娠していた時期だけれど、もう妊娠・出産は考えていない。

授かったから、産もうという成り行きの感覚が自分にはなく、産むと決めたから妊娠するという感じだったので、予定外のことは起こさないようにしている。

この成り行きではない感覚が、自分の面倒くささだなとも思っているが、これは別の話だ。

授乳の旅からの帰還であり、新しい母子関係への旅立ちがそろそろやって来る。

寂しいな、とは思いつつも長く浸っていられる性格ではない。

そばにいることを仕事としていたが、そろそろ限界が来ているのを感じている。

元々、同じ場所で安定し続けることに、窮屈さを感じやすい性質だ。

誤魔化し誤魔化し生活してこれたのは、妊娠・出産や、引っ越し、在宅ワークなどのブーストを入れたからだった。

実験こそが人生だと思っているので、実験の生まれにくい環境は楽しくない。

今のところの実験は、生殖の先の時期を経験することだ。

その先はもう少し束縛のない世界がやって来ると思っている。

余白や余裕が生まれる気配もありつつ、これまで拘束されていたと感じている人間にとっては、恐れもある。

それなりの不自由さを好む人間もいるはずだから。

ある旅立ちの予感がある、という話。